糖尿病が
寄生虫のつくる「ある物質」のおかげで
良くなる。.
2020年4月に発表された研究です。
ネズミレベルですが、
腸に寄生虫がいると
その寄生虫のつくる物質が
糖尿病を改善するのです。
なんと
寄生虫の作る物質とは
「トレハロース」です。
どうして
トレハロースが糖尿病をよくするの?
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糖質異常をおこす2種類の糖尿病
糖尿病には
大きく2種類あります。
1型と2型です。
1型糖尿病は、
膵臓のインスリンを出す
「細胞」が壊されてしまう病気です。
一方、
2型糖尿病は
膵臓のインスリンを出す
「感度」が鈍くなる病気です。
結果は
1型も2型も
インスリンが働かないために
治療は
インスリンを補充しないといけません。
今回の報告では
1型糖尿病マウスの病態を
寄生虫が良くすると言う報告です。
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血糖値をさげるインスリン
くりかえしますが
1型糖尿病とは
簡単にかくと
インスリンを作る細胞が壊されてしまい
インスリンを作ることが
できなくなる病気です。
ということは
どういうことが起こるの?
たとえば
何かをたべると
血液中に
糖質がとりこまれます。
これを「血糖値」といいます。
表紙の写真のように
家で簡単に測れます。
これが正常範囲でおさまるように
通常は
インスリンが放出されます。
インスリン [in suline]の
[in] は [中に] という意味です。
砂糖を意味する [sugar] の [su]です。
つまり
インスリンは
血液中にある糖質を
細胞[中に]とりこむことで
血液中の血糖値をさげます。
1型糖尿病では
血糖値を抑えることができず、
血糖値が常に高いという
異常な事態になってしまいます。
つまり
原因は違いますが
「2型糖尿病」と同じ病態になっています。
なぜ
インスリンをつくる細胞が
壊されるの?
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トレハロースが腸内細菌を増やす
はっきりとわかっていませんが
いろいろな原因があります。
その1つが
免疫系の異常です。
今回の研究では
まず
1型糖尿病のモデルマウスの
お腹に寄生虫をいれます。
すると
糖尿病の病態が良くなったと言うことです。
Heligmosomoides polygyrusという
寄生虫です。
線虫の仲間です。
それで?
寄生虫が
トレハロースをつくるということがわかりました。
腸内にいる細菌の大好物が
天然の糖です。
トレハロースも天然の糖です。
具体的には
腸内にいる
ルミノコッカス
(Ruminococcus) が
ワッサワッサとふえます。
普段
ルミノコッカスは
お腹のなかの
奥の方に潜んでおり、
あまり酸素がない
環境が大好きです。
これを「嫌気性」といいます。
ルミノコッカスは
大好物の天然糖トレハロースを
一杯食べて
ご機嫌で、どんどんと増殖します。
腸と自律神経は
密接に関わっています。
では
「ルミノコッカス」と「リンパ球」は
どう関わっているの?
このあたりは
もう少し研究が必要だとのことですが、
要するに
「免疫系のバランス」が変化するとのことです。
研究報告は以下です。
CD8+ regulatory T cells are critical in prevention of
autoimmune-mediated diabetes.
Nature Communications
2020 Apr 22;11(1):1922.
doi: 10.1038/s41467-020-15857-x.
1型糖尿病の患者さんでは
腸内細菌ルミノコッカスが
健常者に比べて少なくなっているとのことです。
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トレハロースに加えて神経伝達が分泌される
今回研究を発表したのは
主に群馬大学医学研究科のグループです。
このグループは
2019年4月に
同じ寄生虫をつかって
「痩せる効果」があるという
報告をしています。
その時には
寄生虫からだされる物質
「ノルアドレナリン」が
脂肪細胞に働きかけ、
熱を産生するのです。
そのために
脂肪細胞が熱産生にエネルギーを使い
体重増加に回らず
体重の抑制が抑えられるとことでした。
自律神経を調節するノルアドレナリンが
寄生虫から分泌されていたのです。
今回は
寄生虫がつくる
トレハロースでした。
今後
この研究結果を踏まえて
1型糖尿病の患者さんの治療法として
トレハロースと同時に
リンパ球の入った輸血を考えているようです。
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