炎症を抑えると
パーキンソン病の症状が良くなる
これは約30年前から
言われていることです。
炎症はこれまで
細胞が死滅したり
異物が侵入してきたために
おこる「結果」だと思われてきました。
しかし
炎症のおこりやすい素地が
はじめからあり
病態(神経変性など)を
悪化させている可能性も十分あり得ます。
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抗炎症剤が効く根拠となる論文は?
アメリカ
ハーバード大学と
エモリー大学がおこなった
大規模な研究があります。
合計146,948人
(男性65,657人、女性81,291人)
1992年から2002年の
約10年間
抗炎症によるパーキンソン病患者への
影響を見た研究です。
非ステロイド系抗炎症薬
(NSAIDs)である
イブプロフェンibuprofenを服用していた
パーキンソン病の方では
臨床症状が有意に緩和するのです。
Nonsteroidal antiinflammatory drug use and the risk for Parkinson’s disease
Ann Neurol (2005) 58 963-967.
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抗炎症剤がパーキンソン病症状を緩和する機序は?
イブプロフェンは
どうやって炎症を抑えるのでしょうか?
こちらのリンク先は
とてもわかりやすいです。
プロスタグランジンと言う成分が
痛みや炎症には関わってきます。
特に
プロスタグランジンのなかでも
E2が炎症には深く関与します。
プロスタグランジンE2は
2段階の酵素反応後に
作られます。
最初のステップは
細胞の膜成分である
「油」から
ホスホリパーゼと呼ばれる酵素により
脂質が
アラキドン酸という
脂肪酸に変換されます。
そして
2ステップ目は
アラキドン酸を
Cyclooxygenase2
(略してCOX2)により変換して
プロスタグランジンE2が作られます。
イブプロフェンは
この2つ目のステップを
阻害することにより
プロスタグランジンE2の生成をおさえるため
炎症が抑えられます。
どうして
炎症をおさえると
パーキンソン病症状が
抑えられるかはよくわかっていません。
おそらく
脳内の炎症に関与する細胞
ミクログリア(茶色の細胞)が
関わっていると思います。
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抗炎症薬の副作用
プロスタグランジンE2には
炎症作用のほか
発熱や胃粘膜の保護作用もあります。
そのため
イブプロフェンなどの抗炎症剤を使うと
プロスタグランジンE2の生成が
抑えられてしまうために
胃の粘膜の保護作用が弱くなります。
すると
E2がなくなり
「胃痛」と言う
名前通り
副作用がでます。
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まとめとして
慢性炎症をおさえると
パーキンソン病症状が緩和されるが
メカニズムはいまだによくわかっていません。
しかし
このわからないところに
新たな治療法の種が眠っていると
思います。
今日も最後まで
ありがとうございました。
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