(2017年1月23日追記あり)
松方弘樹が脳リンパ腫。小林麻央と北斗晶が乳がん。
つんくと坂本龍一が喉頭癌、渡辺謙が白血病。
桑田佳祐、市村正親と宮迫博之が食道・胃がん。
たくさんの芸能人の方たちが
ガンに罹患され、治療されています。
実際に、
日本人の2人に1人はガンと診断され、
3人に1人はガンで亡くなっています。
(平成26年 厚生労働省の報告書)
ガンの治療には大きく3つあります。
「外科的手術」「抗がん剤」「放射線」です。
私の父親も64歳の時
胃ガンのため胃を摘出しました。
その後、
TS-1、パクリタキセルといった抗ガン剤治療をして
最後は使う抗がん剤がなく、
免疫療法を受けました。
樹状細胞免疫療法です。
リンパ節からの転移が
全身に広がり72歳で亡くなりました。
免疫療法が
結局効いたのかどうかは?です。
しかし
ここ数年で
ガン免疫療法に対する状況は一変しました。
免疫療法は大きく分けると3つあります。
ワクチン療法
異物を体内に入れることにより身体の免疫反応を起こして
同時にがん細胞をやっつけようという考えです。
異物として、
死んだ細胞やウィルスを使う場合と
分子やタンパク質を使う場合とがあります。
一昔前に流行った丸山ワクチンもこのカテゴリーに入ります。
今はもう少し工夫されており、
がん細胞特異的なタンパク質を使ったり、
もっと小さなペプチドを使ったりします。
抗体を使った療法
現在最も進んでいるチェックポイント阻害剤(PD-1)は、
このカテゴリーに入ります。
皮膚のがん細胞(メラノーマ)の患者さん、
32人に治験を行ったところ
なんと56パーセントの人にがんの縮小、
もしくはがん細胞の増殖が抑えられたのです。
1キログラム当たり
10ミリグラム使用して
2週間に1回の割合で、
この抗体を投与しました。
この試験の結果を受けて
2014年にチェックポイント阻害剤が
速攻で承認されました。
その後、2015年3月には
肺がんの一種(小細胞肺がん)にも適用が認められました(アメリカ)。
日本では今、臨床試験(治験)の募集をしています。
詳細はこちら。
他のガンについても、
チェックポイント阻害剤の適用拡大にむけて、
どんどんと臨床試験が広がっています。
トリプルネガティブ乳癌(現在から2017年11月まで)
(2016年11月13日追記)
詳細をリンク先に記載しました。
胃腺癌又は食道胃接合部腺癌(現在から2017年3月まで)
尿路上皮癌(現在から2017年9月まで)
さらに、
チェックポイント阻害剤を使う時期も
ガンを摘出した手術の後や、
抗がん剤との併用なども試されています。
この方法を発見した本庶佑先生は、
今年のノーベル賞の候補にも上がっていました。
いずれノーベル賞を取ることでしょう。
それほどまでにチェックポイント阻害剤による
ガン免疫療法の効果は
絶大で世界中で使われています。
もう少し詳しい解説を読みたい人は、
小野製薬(がん免疫療法について、PD-1)のサイトへどうぞ。
よいことばかりではありません、価格面で問題は残っています。価格が高すぎ!っていくらなの?
細胞を使った療法
がん組織の中に、
白血球が入り込んでいる場合があります。
これを「がん浸潤性リンパ球」と呼びます。
これらのリンパ球は
単に入り込んでいるではなくではなく、
ガン細胞を異物として認識しているために
がん細胞をアタックしている途中だと考えられています。
そこで、
この白血球(獲得性T細胞)を採集して、
増やして体の中に戻そうというのが主な考え方です。
アメリカの国立がんセンター
スティーブン・ローゼンバーグ先生が
先導して技術が進歩しています。
photoed by Memorial Sloan Kettering cancer center
画像の中のオレンジ色は
血液中の白血球、T細胞です。
あつまっている場所はガン細胞の表面です。
まとめ
ガン免疫療法の種類を3つに分類しました。
現在では
2番目の抗体療法の技術が
すごい勢いで進歩しています。
一方、
1番目と3番目の技術に関しては
ミックスした方法が主流に
なってきています。
つまり
身体から白血球を取り出して
そこで
ガン特異的タンパク質やペプチドで刺激してから
身体にまた戻すといった方法です。
樹状細胞免疫療法もこれに当たります。
いずれにしても
これまでは
免疫療法はあやしい、
効く人と効かない人の差がはげしい。
といったイメージでした。
しかし
ここ数年で
ガンの種類にもよりますが、
外科的手術、放射線治療、抗がん剤治療と並び
免疫療法を積極的に
使っていく時代になってきました。
2017年1月23日追記あり
松方弘樹さんが脳リンパ腫でなくなりました。
享年74歳。
リンパ腫による脳梗塞により
動きが不自由だと報道されていました。
ご冥福をお祈りいたします。
中枢神経系原発リンパ腫に対する
免疫療法も臨床試験が進行中です。
オプジーボ点滴静注
欧米でフェーズ2です。
日本ではもうしばらくかかりそうです。