パーキンソン病患者さんでは
腸内の環境が
早期から変化していること
がわかっています。
一方、
日本人と外国人の
腸内細菌が違うこともわかっており、
海外の報告がそのまま日本人には
当てはまらないこともわかっています。
では
全世界共通したパーキンソン病の人の
「腸内変化」は
どのようなものでしょうか?
今回
名古屋大学を始めとした
共同研究が行われ
パーキンソン病の腸内で
特に変化している
「世界共通の現象」がわかりました。
腸管の変化が神経系へ影響する
最近の研究では
腸内の変化が
神経系に影響及ぼしていることは確かです。
しかも
腸内環境が改善すると
神経系の疾患も改善することも
わかっており
治療にも直結します。
私も
最近、
ネズミの腸内細菌を解析してもらうために
ある会社に糞便を送って
解析中です。
これまでに報告された
パーキンソン病における
腸内変化の研究
合計17報をまとめ
さらに
日本人の新たなデータを追加し
論文として発表されました。
名古屋大学
パーキンソン病における腸内環境の変化
研究では
日本人の
パーキンソン病患者さん223例と
健常者137例を対象としました。
これらの方から
「便」を採取し
腸内細菌を解析しています。
腸内への影響が大きい
BMI、
便秘、
性別、
年齢、
薬剤の影響を
まず統計処理をして除外しました。
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天然のヌルヌル成分「ムチン」がカギ
腸内細菌層を調べたところ
「ムチン」を分解する菌が
有意に増加していました。
これは何を意味するのでしょうか?
ムチンとは
ヌメヌメした食品に含まれている成分です。
実は
腸内の表面は
このムチンが被っており
腸管壁を保護しています。
ムチンを分解する細菌が増えると言うことは
腸管の表面を分解する可能性が高く
腸管バリアが破られる可能性が高くなります。
実際
パーキンソン病を含め
神経難病では
腸管バリアが緩くなっており
そこから
ばい菌が血液中に入り
全身をめぐっています。
慢性炎症の素地を作っているのです。
つまり
腸管バリアが緩くなると
少しの刺激で
「炎症が起こりやすくなる」ということです。
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天然の脂肪酸 酪酸が減少
一方
論文では
「減少している菌」もわかりました。
以前からこちらのサイトでも
紹介している
短鎖脂肪酸を産生する菌です。
短鎖脂肪酸を産生する菌が減ると
生体の栄養として使われている
短鎖脂肪酸が減ることを意味します。
具体的には
酢酸、プロピオン酸
または酪酸です。
特に
酪酸は
腸管のバリアを保護する働きがあります。
やはり
腸管バリアが緩くなってしまい
慢性炎症の素地を作っていると思われます。
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天然の糖・食物繊維を多めに
今回の研究から
パーキンソン病の腸管では
早期から腸管バリアを悪化させる
様々な菌が変動していることがわかりました。
今後、
腸内細菌をターゲットとしたサプリや薬剤が
開発されるでしょう。
また
慢性炎症を抑える薬剤が
神経難病の病態を抑える薬剤として
どんどん登場すると思います。
忘れてはいけないのは
「基本は毎日の食生活」だということです。
ムチンを分解する菌は食物繊維が大好物です。
食物繊維の豊富な
食事をしていれば
エサとして
腸管のムチンは食べません。
わたしは最近
おからパウダーをよく使います。
食物繊維が豊富だし、
お手軽で、
おすすめです。
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