神経難病のひとつに
筋萎縮性側索硬化症(ALS)があります。
治療薬が
現在、2つしかなく
もちろん
病態を止めることもできません。
ALSの3つ目となる治療薬が
臨床試験の最終段階に進んでいます。
実は
その薬は
コロナ患者さんの肺炎にも
効果がありそうなのです。
難病中の難病といわれる病気とは?
先週(2020年6月)は
ALSの方の剖検がありました。
42歳、男性のかたで
「呼吸がしづらい」と
病院を初受診しておられました。
その8か月後に
亡くなられました。
ALSは10万人あたり
1-2人の比較的まれな病気です。
しかし
発症数に比べて
「剖検」の機会が多い疾患です。
なくなる患者さんが
将来、ALSで苦しむ人がいなくなるようにとの
願いを込めて
積極的に献体してくださるのです。
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ALS研究の進歩
美容、生活アドバイザーの
佐伯チズさんも
ALSの経過が早く
2020年6月5日に
亡くなられました。
ALSは
難病中の中の
「特に難病」といわれており
まったく病態がわかりませんでした。
しかし
2006年に、
ALS患者の脳内に
異常に蓄積している分子が同定されたことで
一気に研究が加速しました。
ブレークスルーとなったのが
以下の論文です。
Neumann M, Sampathu DM, Kwong LK, et al:
Ubiquitinated TDP-43
in frontotemporal lobar degeneration and
amyotrophic lateral sclerosis.
Science 2006; 314: 130―133
この論文の発表3カ月前に
サンフランシスコで
国際神経病理学会があり
私も参加していました。
この論文の著者が
発表しているのを聞いていました。
ついに
ALSの研究が大きく前進したな。と
強く感じたのを覚えています。
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ALSでは慢性炎症が起きている
その後、
早速、
私たちも異常な分子を解析して
認知症の研究と並行して
ALSの研究を開始しました。
主に
その当時
中国から日本に留学に来ていた
大学院生の方と
一緒に研究を進めました。
そして
「ストレスとALS」の関係を
証明することができました。
また
その後
共同研究として
「ALSの患者さん内では
ストレスにより脂質異常が起きて
炎症が起こっている」
ことも証明できました。
確かに
ALSの方では
慢性的に炎症が起こっています。
しかし
人手不足のために
ALSの研究はその後ストップです。
「認知症」の研究に焦点を絞り、
現在に至っています。
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ALSにイブジラスト
炎症がALSの病態を抑えるうえでは
カギになると思っています。
実際に、
炎症を抑える薬剤をつかって
ALSに対して
海外第3相臨床試験が
2020年2月から進んでいます。
メディシノバという会社です。
2017年12月に
アメリカでの
イブジラストの治験結果が
よかったため
翌日に、
記事にしました。
「ALSにケタスを処方すればよいのでは・・・」
その後
読者の方から
日本でも
処方してもらうことができました。
と連絡がありました。
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コロナにもイブジラストが効くかも
イブジラストは
以前、
ケタスといって「めまい」に対して
適応した薬なのです。
日本では
イブジラストは
ALSには適応ではありません。
医師が他国の
臨床試験結果をみて
処方してくれたのでしょう。
驚くことに
イブジラストは
コロナによる肺炎の患者さんにも
効果があるようです。
2020年6月に
米イェール大とメディシノバは共同で
COVID-19による
急性呼吸不全(ARDS)を対象に
臨床試験を始めました。
今日も最後まで読んで頂き
ありがとうございました。
次世代には
神経難病で苦労する人や
介護する人を少なくしたい。
「研究」と並行して
このブログでコツコツと活動をしています。
仲間や同士が集まり、
未知のことが
いろいろ分かってくると思います。
そして
「将来、神経難病は治る病気」になると
思います。
みそしるが出ていれば
一押しお願いします。