テレビやニュースなどで
「ついにパーキンソン病の原因がわかった」と
報道されることがあります。
それでも
現状はほとんど変わらず
パーキンソン病の患者さんは
どんどんと増えています。
どうしてでしょうか?
実は
原因が
単独ではなく複数あるからです。
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認知症といっても
たとえば「認知症」といっても
アルツハイマー病
パーキンソン病
脳血管の障害
薬剤性
精神性
感染症など
原因は複数あります。
治療法は
それぞれで異なります。
これと同じで
「パーキンソン病」といっても
ひとつの原因が
わかっても
すべての
パーキンソン病に
あてはまるわけでありません。
しかし
「その発見」が
無駄ではありません。
なぜなら
すべての
パーキンソン病の原因と
つながっている
鍵かも知れないからです。
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パーキンソン病も原因は複数ある
パーキンソン病と
一口に言っても
「若年性のパーキンソン病」、
「孤発性のパーキンソン病」、
また
「若年性ではない家族性のパーキンソン病」など
多くの種類があります。
それぞれで
症状は似ていても
原因が違い、
病態が違っているのです。
そのため
「パーキンソン病の原因がわかった」と
報道されても
「どのタイプのパーキンソン病」
の原因なのか?
と
疑問を持つ必要があります。
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若年性パーキンソン病の原因がわかった
2020年1月20日
アメリカの
ロサンゼルスにある
「再生医学研究所」から
「若年性パーキンソン病」の
原因が判明したという報告です。
Nat Med. 2020.
doi: 10.1038/s41591-019-0739-1.
iPSC modeling of young-onset Parkinson’s disease
reveals a molecular signature of disease
and novel therapeutic candidates.
若年性とは40歳以前です。
研究では
若年性パーキンソン病の患者さんから
iPS細胞をつくりました。
さらに
その細胞から
神経細胞を作り、
その後
神経細胞内に
どのような異常がおこるのか
調べた研究です。
大規模な遺伝子解析をした結果
細胞内の「分解」を担っている
複数の遺伝子が
早期から変動し始め、
原因候補としてあがってきました。
パーキンソン病の中で
最も有力な原因タンパク質、
「シヌクレイン」も
異常遺伝子として入っていました。
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「分解」がおかしくなるとどうなるの?
口からたべる
タンパク質は
その後
消化酵素でバラバラにされて
栄養となります。
栄養とは
体全体にいる
細胞たちのエネルギーや構成物質と
なるということです。
タンパク質は
細胞内で
作られて
壊されて
また再利用されます。
生き物の体の中では
この1連の工程が
毎日繰り返されています。
これを「代謝」といいます。
そして
今回、見つかった原因のタンパク質は
「分解」を担っているタンパク質でした。
この「分解」が
ちゃんと働かないために
どんどんと
タンパク質がたまっていたのです。
つまり
分解・代謝が
うまく回らなくなっていたのです。
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「分解」を進める治療法
ここまでわかれば
「ひょっとして
タンパク質の分解を促進するような
薬剤を使えば
この原因が解消されるのでは?」
と
思う人がいます。
実際に
その通りに
研究でもすすめられました。
PEP005と呼ばれる物質が
細胞内で「分解」を促進することがわかりました。
この物質は
天然の物質で、
安全性が既に確かめられています。
さらに
ネズミを使ってこの物質が
投与され
症状も良くなったと言うことです。
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認知症でも「分解」を促進するという治療
私たちのラボでも
同じ考えで、
パーキンソン病
や関連疾患の治療方法を試しています。
「分解・代謝」をアップして
異常物質を除去するのです。
特に
私たちのラボでは
天然の糖質
トレハロースをつかっています。
さらに
私たちのラボでは
2019年に
ある病気の真似た
マウスを作りました。
パーキンソン病関連の
病気(多系統萎縮症)です。
この病気の早期を再現することができます。
認知症も引き起こします。
このマウスをつかって
「分解」を促進すると
意外なことが起こりました。
今
論文として
まとめている
ところなので
また数か月後に
進展具合を報告できると思います。
今日もありがとうございました。
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