最終更新日: 2022.10.28

スペルミジンの副作用はある? ポリアミンを多く摂るとどうなる?

2022年10月28日
アメリカの「サイエンス」に
スペルミジンの量と
免疫細胞(キラーT細胞)の機能亢進が
比例するという報告が掲載されました。

ポリアミンであるスペルミジンを
多くとるとどうなるのでしょうか?

結論から

ポリアミン、スペルミジンの副作用

ポリアミンは酵素によって至適濃度が
生体内で一定に保たれています。

そのため、
スペルミジンを
多く摂りすぎても
酵素によって
一定にたもたれるため、
とくに身体に影響はありません。

以下
もっとスペルミジンを知りたいという方はどうぞ!



スペルミジンとは?

スペルミジンは
身体でも合成される小さい物質です。
特徴はアミノ基を多く持っていること。
ポリアミンの一種です。

ポリアミンは
体内では
プトレッシン、
スペルミジン、
スペルミンの順に合成されます。

活性はスペルミン
スペルミジン
プトレッシンの順に強くなります。

何の活性をもっているかというと
少なくとも5つはあります。

さらに上述した
免疫系に深くかかわる
細胞の活性をアップすることもできます。

つまりスペルミジンを含む
ポリアミンは
以下5つの活性に加えて
免疫増強作用もあるということです。

ポリアミンの5つの活性

ポリアミンは
若々しさを保つ
抗炎症作用
抗がん作用
オートファジーを活性化
する。
さらに
パーキンソン病の血液内では
減少している
ことがわかりました。

いいことづくめの
物質ですが、
加齢とともにへってくるため
補うことはできるのでしょうか?



スペルミンはポリアミンの一種

パーキンソン病の血液内で
スペルミンと呼ばれる物質が減少していることがわかりました。
2019年7月2日に
順天堂大学から発表されました。

これを利用して
パーキンソン病の診断に使おうとしています。

実は
腸内細菌が
体内のほとんどのポリアミンを作っています。

パーキンソン病のかたでは腸内環境が悪化している

スペルミジンが
酵素で
スペルミンに変わります。

スペルミジンも
スペルミンも
普通に体の中にある物質で
年齢とともに
その量が少なくなっていくことが知られています。

逆に赤ちゃんは
母乳からポリアミンを大量に摂取します。
特に
出産後10日目あたりの母乳には
大量にポリアミンが含まれていることがわかっています。

赤ちゃんの腸内環境を
整えるのに必要なんですね。



スペルミンとは何でしょうか?

アミンという構造をもつ
アミノ酸が3つつながった
ポリペプチドです。

簡単にいえば
タンパク質の小さい分子です。

このスペルミンやスペルミジンを
外から補うことができれば
先ほどの活性
たとえば
オートファジーを適度に活性化して
健康状態を保てるのではないかと
仮説が立てられます。

そこで大規模な調査として
2つ紹介します。

1つ目は
829人の参加者を
15年追跡した結果です。

年齢層は
45歳から84歳までです。

Kiechl S, Pechlaner R, Willeit P, et al.
Higher spermidine intake is linked to lower mortality:
a prospective population-based study.
Am J Clin Nutr. 2018.

スペルミジンの1日摂取量は
食べ物の質問により計算しました。

その結果
スペルミジンを含んでいる食べ物を
多く摂取している人では
ガンと心臓血管系の病気が少ないことが
わかりました。

それに応じて
生存率も有意に高くなっていました。

研究としてはかならず
年齢層、
性別、体脂肪率、
アルコール摂取量、
また抗炎症性薬剤の摂取、
生活習慣病、
運動の頻度、
経済力などを考慮し補正します。



ポリアミンの疫学調査

また
スペルミジンの別の研究があります。
1770人の健常者から
13年間食生活をフォローした結果です。

スペルミジンの多い食物を摂取していた人では
死亡率が低くなっていると言うことです。

Autophagy. 15(1):165-168 2019.
doi: 10.1080/15548627.2018.1530929.



ポリアミンを多く含む食材は?

スペルミジンを多く含む食物として
以下が挙げられます。

野菜・果物系
ドリアンフルーツ、
シイタケ、
ピーマン、
小麦胚芽、
アマランス、
カリフラワー
およびブロッコリー

また発酵食品にも
スペルミジンは多く含まれています。
特に「納豆」です。

スペルミジンは
若い時には十分量
体で合成されるのですが、
年齢とともに
スペルミジンを作る能力が衰えてきて
スペルミジン量が少なくなってしまいます。

オートファジーを活性化する物質として
化学的に合成されたラパマイシンと
化学物質があります。

ラパマイシンはオートファジーを
効率的に誘導するのですが
毒性も強いため実際に摂取することはできません。

一方、
スペルミジンには
ラパマイシンと同程度の
オートファジー誘導能があり
さらに
身体で合成されているわけですから
身体が本来持っている
能力の一つともいえます。



スペルミン副作用のまとめ

ポリアミンである
スペルミンやスペルミジンは
アルギニンというアミノ酸を元に作られます。

腸内細菌がアルギニンを餌にして
酪酸や乳酸を生かして
ポリアミンを腸で効率よく作ります。
それを身体はありがたく
使わせてもらっているのです。

酵素によりその至適濃度は保たれているため、
多く摂っても大丈夫です。



今日も最後まで読んで頂き
ありがとうございました。

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