最終更新日: 2020.09.6

なぜ 古い油 が 認知症 を進ませるのか.

パーキンソン病や
レビー小体型認知症の病因に、
「不飽和脂肪酸の代謝」が
関わっていることが
2018年5月に
報告されました。

脂質の異常は
原因なの
結果なの?

実は
酸化ストレスや
慢性炎症が
根本にあり、
それによって
「脂質の代謝異常」が起こっています。



今回の論文の新発見は?

早い話が
可溶性エポキシド加水分解酵素(sEH)が
パーキンソン病(PD)や
レビー小体型認知症(DLB)の方の脳内では
オカシイということを突き止めたのです。

言い換えれば
この酵素が
PDやDLBの患者さんの中では
過剰に活性化しているということを
初めて見出した論文です。

Proc Natl Acad Sci U S A. 2018
doi: 10.1073/pnas.1802179115.
Soluble epoxide hydrolase plays a key role
in the pathogenesis of Parkinson’s disease.

この事実から
この「過剰な活性化」を抑えると
治療に結びつくのでは
ということで
阻害薬をあたえたところ
細胞死が抑えられたということです。

これらの事実を
マウスや
患者さんや
患者さん由来の
iPS細胞を利用して検証しています。

現時点で研究に使える材料を
すべてつかった
気合の入った研究です。



可溶性エポキシド加水分解酵素(sEH)って何じゃ?

この酵素、
可溶性エポキシド加水分解酵素(sEH)は
字のごとく「分解する酵素」です。

なにを分解するの?

sEHは、
不飽和脂肪酸
(アラキドン酸、EPA、
ドコサヘキサエン酸(DHA)など)
から生成されるエポキシエイコサトリエン酸を代謝して
ジオール類に分解します。

このあたりは
細かすぎて
わたしはヨクワカリマセン。

大切なことは
sEHが分解する
エポキシエイコサトリエン酸(EET)などが
抗炎症効果を持つ
ということです。

抗炎症作用ばかりではありません。

EETは
鎮痛作用、
血管新生作用があることも
複数の研究によって報告されています。



sEHの役割はなに?

抗炎症効果をもつ
EET
および
エポキシドコサペンタエン酸(EDP)を
sEHは
ドンドンと分解してしまうのです。

すると
EETやEDPがなくなるので
抗炎症作用もなくなってしまいます。

そこで
この分解している酵素を
阻害する薬剤を投与すると
見事に
EETやEDPの分解が抑えられ
しかも
細胞死が抑制されたということです。

ただ
細胞レベルで効果があるからといって
個体(動物レベル)で効果があるかは
わかりません。

その根本を抑えることができれば
薬剤に頼らなくても
食事から治せます。
(後述)



この酵素は脳梗塞やうつ病とも関係する

sEHの発現の増加は、
糖尿病性網膜症の病因における重要な決定因子であり、
sEHの阻害は疾患の進行を防ぐことができる

とドイツの研究グループが報告しました。
Nature. 2017;552(7684):248-252.
doi: 10.1038/nature25013.
Inhibition of soluble epoxide hydrolase prevents
diabetic retinopathy.
2017年12月14日

また
sEHは
パーキンソン病や
レビー小体型認知症だけでなく
うつ病や
心筋梗塞や
脳梗塞などでも活性化しています。

“Soluble epoxide hydrolase as a therapeutic target
for cardiovascular diseases”.
Nat Rev Drug Discov. 8 (10): 794–805.
doi:10.1038/nrd2875. PMC 3021468 Freely accessible. PMID 19794443.

つまり
炎症があれば
sEHは
亢進すると予想されます。

脂質の異常は
炎症の結果
だと思われます。

また
今回の報告は
PDとDLBですが、
PDやDLBに限らず
神経難病すべてで
sEHは活性化しているかもしれません。

なぜなら
神経難病では
いずれも
慢性炎症が起こっているからです。



不飽和脂肪酸は「しなやかさ」を作る

油は
身体を構成する上で
欠かせません。

油には
2種類あります。

身体に良い油と
身体に悪い油
です。

良いとは
サラサラした
潤いのある油です。

先ほどの
不飽和脂肪酸、
アラキドン酸、
EPA、
DHAなどです。

だから
青魚にふくまれる油は
身体に良いんですね。

悪い油とは
ギシギジの
どんよりとした油です。

マーガリンや
乳化剤に入っている
トランス脂肪酸です。
また
使い古した古い油です。

古い油はこうして見分ける!



食事で意識することは?

亜麻仁油やエゴマ油に含まれる不飽和脂肪酸、
青魚に多く含まれるEPAやDHAから
抗炎症効果をもったEET(など)ができます。

今回の論文から
このEETが少なくなると
炎症も悪化する。

ことがわかりました。

ということは
食事で補うなら
できるだけ
不飽和脂肪酸を多く含む食材です。

以前から
挙げている
「ま・ご・わ・や・さ・し・い」
を意識していれば
いいんですね。

まごわやさしい

ま(豆)
ご(ゴマ)
わ(わかめ)
や(野菜)
さ(魚)
し(シイタケ)
い (イモ系、サツマイモ) です。

これらの食材を
調理する際には
「食物繊維」
「天然糖質」
「発酵食品」を意識すると
腸内環境が整い
身体が本来のパワーを発揮し始めます。



まとめとして

なぜ、古い油が認知症を進ませるのか?

答えは
(慢性)炎症が悪化するからです。
さらに
抗炎症作用をもった分子を
分解してしまうからです。



今日も最後まで読んで頂き
ありがとうございました。

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