パーキンソン病や
レビー小体型認知症の病因に、
「不飽和脂肪酸の代謝」が
関わっていることが
2018年5月に
報告されました。
脂質の異常は
原因なの
結果なの?
実は
酸化ストレスや
慢性炎症が
根本にあり、
それによって
「脂質の代謝異常」が起こっています。
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今回の論文の新発見は?
早い話が
可溶性エポキシド加水分解酵素(sEH)が
パーキンソン病(PD)や
レビー小体型認知症(DLB)の方の脳内では
オカシイということを突き止めたのです。
言い換えれば
この酵素が
PDやDLBの患者さんの中では
過剰に活性化しているということを
初めて見出した論文です。
Proc Natl Acad Sci U S A. 2018
doi: 10.1073/pnas.1802179115.
Soluble epoxide hydrolase plays a key role
in the pathogenesis of Parkinson’s disease.
この事実から
この「過剰な活性化」を抑えると
治療に結びつくのでは
ということで
阻害薬をあたえたところ
細胞死が抑えられたということです。
これらの事実を
マウスや
患者さんや
患者さん由来の
iPS細胞を利用して検証しています。
現時点で研究に使える材料を
すべてつかった
気合の入った研究です。
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可溶性エポキシド加水分解酵素(sEH)って何じゃ?
この酵素、
可溶性エポキシド加水分解酵素(sEH)は
字のごとく「分解する酵素」です。
なにを分解するの?
sEHは、
不飽和脂肪酸
(アラキドン酸、EPA、
ドコサヘキサエン酸(DHA)など)
から生成されるエポキシエイコサトリエン酸を代謝して
ジオール類に分解します。
このあたりは
細かすぎて
わたしはヨクワカリマセン。
大切なことは
sEHが分解する
エポキシエイコサトリエン酸(EET)などが
抗炎症効果を持つということです。
抗炎症作用ばかりではありません。
EETは
鎮痛作用、
血管新生作用があることも
複数の研究によって報告されています。
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sEHの役割はなに?
抗炎症効果をもつ
EET
および
エポキシドコサペンタエン酸(EDP)を
sEHは
ドンドンと分解してしまうのです。
すると
EETやEDPがなくなるので
抗炎症作用もなくなってしまいます。
そこで
この分解している酵素を
阻害する薬剤を投与すると
見事に
EETやEDPの分解が抑えられ
しかも
細胞死が抑制されたということです。
ただ
細胞レベルで効果があるからといって
個体(動物レベル)で効果があるかは
わかりません。
その根本を抑えることができれば
薬剤に頼らなくても
食事から治せます。
(後述)
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この酵素は脳梗塞やうつ病とも関係する
sEHの発現の増加は、
糖尿病性網膜症の病因における重要な決定因子であり、
sEHの阻害は疾患の進行を防ぐことができる
とドイツの研究グループが報告しました。
Nature. 2017;552(7684):248-252.
doi: 10.1038/nature25013.
Inhibition of soluble epoxide hydrolase prevents
diabetic retinopathy.
2017年12月14日
また
sEHは
パーキンソン病や
レビー小体型認知症だけでなく
うつ病や
心筋梗塞や
脳梗塞などでも活性化しています。
“Soluble epoxide hydrolase as a therapeutic target
for cardiovascular diseases”.
Nat Rev Drug Discov. 8 (10): 794–805.
doi:10.1038/nrd2875. PMC 3021468 Freely accessible. PMID 19794443.
つまり
炎症があれば
sEHは
亢進すると予想されます。
脂質の異常は
炎症の結果だと思われます。
また
今回の報告は
PDとDLBですが、
PDやDLBに限らず
神経難病すべてで
sEHは活性化しているかもしれません。
なぜなら
神経難病では
いずれも
慢性炎症が起こっているからです。
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不飽和脂肪酸は「しなやかさ」を作る
油は
身体を構成する上で
欠かせません。
油には
2種類あります。
身体に良い油と
身体に悪い油です。
良いとは
サラサラした
潤いのある油です。
先ほどの
不飽和脂肪酸、
アラキドン酸、
EPA、
DHAなどです。
だから
青魚にふくまれる油は
身体に良いんですね。
悪い油とは
ギシギジの
どんよりとした油です。
マーガリンや
乳化剤に入っている
トランス脂肪酸です。
また
使い古した古い油です。
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食事で意識することは?
亜麻仁油やエゴマ油に含まれる不飽和脂肪酸、
青魚に多く含まれるEPAやDHAから
抗炎症効果をもったEET(など)ができます。
今回の論文から
このEETが少なくなると
炎症も悪化する。
ことがわかりました。
ということは
食事で補うなら
できるだけ
不飽和脂肪酸を多く含む食材です。
以前から
挙げている
「ま・ご・わ・や・さ・し・い」
を意識していれば
いいんですね。
ま(豆)
ご(ゴマ)
わ(わかめ)
や(野菜)
さ(魚)
し(シイタケ)
い (イモ系、サツマイモ) です。
これらの食材を
調理する際には
「食物繊維」
「天然糖質」
「発酵食品」を意識すると
腸内環境が整い
身体が本来のパワーを発揮し始めます。
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まとめとして
なぜ、古い油が認知症を進ませるのか?
答えは
(慢性)炎症が悪化するからです。
さらに
抗炎症作用をもった分子を
分解してしまうからです。
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今日も最後まで読んで頂き
ありがとうございました。
みそしる一押しお願いします。
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