最終更新日: 2020.09.6

アルツハイマーワクチンの最新治験が開始. ただし対象限定.

アルツハイマー病に対して
現在、
臨床試験(治験)を募集しています。

この抗体医薬は
2014年に
一度
効果が思わしくなかったために
却下されました。

しかし
新たな2つの新発見を得て、
対象者と投与量を変えて
再チャレンジです。





クレネズマブ(Crenezumab)は
抗体医薬です。

現在、
最終段階(phase 3)の
臨床治験を募集しています。
2017年5月27日より開始。

全世界から750人。
年齢は
50歳から85歳の方が対象です。

今回の治験の対象者は
軽度なアルツハイマー病で
容量を60 mg /kgに設定しています。

1ヵ月に一回
静脈注射を行い、
約2年間これを続けます。

そして、
最終投与から
1年後に
認知症の検査を行います。


2014年に
クレネズマブは
軽度から中等度のアルツハイマー病患者
431例を対象として
治験を行いました。

しかし
第2相試験において、
プラセボと比べて
認知機能の改善効果を
示すことができず
治験を中止しました。
(ロシュによる発表)

その後、
新しく2つの事実が判明したため
再度、臨床試験に踏み切ったのです。


1つ目は、
2016年に
クレネズマブが
アミロイドベータのオリゴマーに
優先的に結合することが
報告されたのです。
Structure of Crenezumab Complex with Aβ Shows Loss of β-Hairpin.
Scientific Reports 6, Article number: 39374 (2016)
doi:10.1038/srep39374




老人斑の主要構成成分である
アミロイドベータには
大きく二種類あります。

既に毒性がないアミロイドベータ
細胞毒性を有するアミロイドベータです。

特に、
毒性を有するアミロイドベータの
特徴としては
バーッと真っ黒に
広がって見えることです。
これをオリゴマーと呼んでいます。
(以下の赤矢印の箇所)

アルツハイマー病の患者の脳から
タンパク質を抽出し、
オリゴマー抗体で検出。



クレネズマブは
より毒性が強いとされている
オリゴマーと結合して
オリゴマーを除去することが
できるのです。

この点、
アデュカヌマブも
オリゴマーと強い親和性を有するために
アルツハイマー病に効果が高いはずなのです。
現在、
アデュカヌマブの最終段階の治験が
有望視されている理由です。

さらに最近
PMN310が
オリゴマー特異抗体として
カナダの会社から開発されました。



再度
クレネズマブの
臨床試験に踏み切った
2つ目の理由は、
前回の治験から得られた
結果によるものです。

前回の治験において
一番投与量の多かった群では
認知機能の改善効果が
認められていたのです。

そのため
今回は抗体の投与量を
60 mg /kgと設定しています。

さらに
対象者を
比較的アルツハイマー病の
軽度な方に絞っています。



治験に関するメールでの
問い合わせ先は以下。

「中外製薬株式会社」
問合せ部署名: 臨床試験窓口
連絡先: clinical-trials@chugai-pharm.co.jp



抗体医薬の副作用として
脳浮腫や脳の炎症があります。

クレネズマブは
これらの副作用を極力抑えるために
ヒト型イムノグロブリンになっています。

製造会社はジェネンテック inc (Genentech inc.)
アメリカにカリフォルニアに
本社を置く会社です。

詳細情報はこちら(英文)

上述したように
全世界から750人。
年齢は50歳から85歳の方が対象です。

さらに条件が付いているかもしれません。
主治医と相談の上、
検討してください。

今日の記事はここまで。

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