認知症を起こす原因として
最も多いのがアルツハイマー病です。
PMN310という新たな
モノクローナル抗体医薬が
アルツハイマー病の進行を
抑えることに成功したと
2017年4月28日に
アメリカ神経学会で報告されました。
(ボストン)
開発した会社は
プロミス ニューロサイエンス株式会社
ProMIS Neurosciences Inc
カナダのトロントにある会社です。
・
・
・
社長兼医師であるElliot Goldstein
(エリオット ゴールドステイン)は
PMN310は
これまで報告されている中で
もっともすぐれている。
アミロイドベータのモノマーには
一切結合しない。
毒性を発揮するオリゴマーのみに結合する。
この利点を生かせば
毒性のある物質だけを特異的に
認識できるので
容量をふやしても副作用はないはずです。
(これまでの抗体医薬は
脳浮腫が問題となっています。)
つまり
「安全性」と「薬剤の効率」
両方を改善できたのです。
とのことです。
発表はポスターで行わました。
タイトルは以下です。
Achieving the optimal profile for Alzheimer’s immunotherapy:
Rational generation of antibodies specific for toxic Aβ oligomers.
表紙の画像は
アルツハイマー病患者さんの脳内です。
茶色が老人斑です。
健常人でも加齢に伴って
老人斑は増えてきますが、
ここまでの沈着はありません。
・
・
・
・
・
・
以下は私の感想です。
これまでいくつもの抗体医薬が
開発されています。
アデュカヌマブもその一つです。
(アデュカヌマブは現在
最も効果的で治験の最終段階です。)
今回、
プロミス ニューロサイエンス株式会社は
独自の手法により、
5つのオリゴマー認識抗体を
作製したとのことです。
そして今回報告された
PMN310の大きな特徴は
アミロイドベータの
オリゴマーにのみ特異的に反応します。
モノマーには反応しないというところです。
アルツハイマー病の患者さんの
脳内に貯まっている
異常物質の一つ老人斑の構成成分は
主にアミロイドベータの
オリゴマーと考えられています。
一方、
モノマーや正常型のアミロイドベータは
神経細胞内や血管内にたくさんあり、
これらにまで抗体医薬が
作用すると前述のように
脳浮腫が起こる可能性が高くなります。
つまり
抗体医薬として使用する
モノクローナル抗体は
オリゴマー特異的であれば
もっとも理想的なのです。
しかし
作製する技術が限られており、
いまだに理想的な
オリゴマー特異的抗体はなかったのです。
すでに
PMN310が
アミロイドベータの伝播も抑える。
アルツハイマー病の患者さんの
老人斑には強く染まる。
マウスを使った空間認知記憶を改善する。
ということを報告しています。
基礎的なデータはそろっており、
確かに期待が持てます。
今後スムーズに診療試験に進み、
すばらしい結果が
報告されるのを祈るだけです。
今日の記事はここまで。
みそしる一押しお願いします。
人気ブログランキング