日本には認知症と診断されている方が462万人、
さらに認知症予備軍が約400万人と報告されています
(平成26年度厚生労働省報告)。
認知症を引き起こす病態として
以前は「脳血管性障害」が多かったのですが、
最近は、アルツハイマー病や
レビー小体型認知症など
「神経変性疾患」による認知症が急増しています。
アルツハイマー病は比較的
良く知られている疾患であるのに対して
レビー小体型認知症は
比較的新しい疾患のために
いまだに病名さえしらない
医療従事者も多いのが現状です。
レビー小体型認知症かもと思ったら・・・
5つのチェックポイントを意識してみましょう。
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視覚
パレイドリア(錯視)とは
猫の額に
なにかの顔が見えてしまうと言った現象です。
少し違った視覚異常として
幻視があります。
幻視とは
「仏壇の上に猫が乗っている。」
(本当は何もいない)
「天井に蟻が無数にいて困る。」
(本当は一匹もいない)
といった現象です。
レビー小体型認知症では
錯視も幻視も現れます。
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嗅覚
嗅覚が鈍くなってきた・・・
最も多い原因は風邪です。
次いで鼻粘膜の障害です。
鼻粘膜の細胞は
数日から数週間で新しいものと入れ替わります。
少し様子を見ましょう。
ただ風邪を原因とするわけでもなく
嗅覚不全・鈍化がある場合には要注意です。
上の画像は
レビー小体型認知症の患者さんの嗅球です。
(嗅球は眼球のやや上に位置しています。)
嗅球とは匂いの中枢です。
異常なタンパク質(シヌクレイン)が
たくさんたまってきます。
(茶色い色)
健常人では
茶色い色は出てきません。
この現象は
特に
パーキンソン病やレビー小体型認知症、
多系統萎縮症の方にあらわれます。
嗅球での
異常なシヌクレインの蓄積が
嗅覚を鈍くしているのです。
また
最近の研究では
認知症などの症状が出現する
数年前から
シヌクレインの蓄積は
はじまっていることがわかっています。
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睡眠
「昨夜、横で寝ている旦那に急に叩かれたのよ。」
(>_<) という場合
「レム睡眠行動障害」かもしれません。
本来、
脱力しているはずの筋肉が
緊張しており、
自律神経系の障害が疑われます。
ただ、睡眠異常は寝ている本人は
まったくわからないために
パートナーからの指摘がないと
判断しにくいポイントです。
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排便
レビー小体型認知症の場合には、
神経の末梢に異常が早くから出ています。
そのために、
便秘や消化不良、発汗障害などの
症状が出てきます。
先ほどのシヌクレインは
脳内の神経細胞に多く
たまってくると言われています。
しかし実は
末梢にもたまっているのです。
むしろ末梢の方が
早期からたまり始めます。
これまで末梢神経は
あまり観察されていないだけです。
自律神経の末端に
より早期から
シヌクレインがたまり
自律神経の機能不全が起こります。
つまり
便秘や消化不良、発汗障害などです。
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うつ
パーキンソン病や
レビー小体型認知症では
脳の中脳という場所の神経細胞が
徐々に死んでいき、
なくなっていきます。
これら神経細胞はドーパミンを作っているので
だんだんとドーパミンが欠乏し
症状がではじめます。
つまり
「不幸感」「不安」「無気力」などです。
うつ様症状ともいえます。
また
注意力や集中力が失われ
注意欠陥性障害があらわれることもあります。
さらに
典型的な
パーキンソン病症状である震えがあらわれます。
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受診先のポイント
5つのうちの複数に
これまでとは違う
「異常」が現れていれば
レビー小体型認知症の可能性があります。
近くの内科もしくは
神経内科を受診しましょう。
できれば神経系の専門医の方が
より適切に診断してくれます。
近年、医療情報が多すぎるために
また
医療技術が日進月歩で進んでいるために
専門外の疾患は見落とされる可能性があります。
実際に
ロビン・ウィリアムズ
(Robin Williams, 1951年7月21日 – 2014年8月11日)のように
うつ病と診断されていて
死後の病理確定診断で
レビー小体型認知症だったということは
稀ではありません。
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臨床症状からは
専門医でさえ
レビー小体型認知症を
見過ごす可能性があることを念頭に!
すこしでも早期に診断し、
治療(薬剤だけでなく日常からも気を付ける)を行いましょう。
数年後の症状に大きく影響します。
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今日の記事はここまで。
みそしる一押しお願いします。
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