医学生理学賞の「単独」受賞は驚きました。
オートファジーはいまや
病気から生理的役割まで
幅広く関わっています。
ノーベル賞の受賞は
時間の問題でした。
でも
単独で受賞はすごいです。
2016年
大隅 良典(おおすみ よしのり、日本)
オートファジーの仕組み
過去には
2010年
ロバート・G・エドワーズ
(Robert G. Edwards、イギリス)
体外授精の技術開発
1999年
ギュンター・ブローベル
(Günter Blobel、アメリカ)
タンパク質が細胞内での輸送と
局在化を司る信号として働いている発見
1997年
スタンリー・B・プルシナー
(Stanley B. Prusiner、アメリカ)
プリオンの研究
1987年
利根川進
(Susumu Tonegawa、日本)
抗体の多様性の仕組みについて
と約10年に一回程度です。
オートファジーの詳細なメカニズムは
他のサイトや
メディアにたくさん載っているので、
自称
脳内オートファジー専門家としては
(^-^)
脳内オートファジーと
うつ病の関係について。
細胞内の分解システムとは、
細胞の「断捨離」だんしゃりの
ようなものです。
細胞の中は
スペース的に限りがあるので、
いらないものをどんどんと捨てていかないと
大変なことになってしまいます。
そこで
分解するシステムが大きく2つあります。
1つはせっせとエネルギーを
たくさん使ってどんどん分解する方法(プロテアソーム系)、
もう一つは
ゆっくりと溶かしていく方法です。
今回のノーベル賞の対象となった「オートファジー」は
後者のゆっくりとした分解システムです。
実は
この中間型の分解システムが存在します。
「選択的オートファジー」と呼ばれます。
不思議なことに
選択的オートファジーに関わる分子が
1つなくなったマウスは、
うつ病のような症状を示すのです。
実際には、
ネズミを強制的にプールに入れると、
普通のネズミは慌てて泳ぎ始めますが、
この選択的オートファジーのない
ネズミはプカプカ浮くだけで
一向に泳ごうとしません。
危機的状況以外でも
あまり動かないために
ぶくぶくと太ってきます。
普通のネズミの約1.5倍ほどの
体重にまで丸々と太ります。
おそらく全身のエネルギーの代謝が
悪くなっているためだと思います。
同時に
神経の働きも鈍くなっており、
たべても
満腹感を感じていないのかもしれません。
これらのことから、
オートファジーとうつ様症状は
密接に関わっていると思われます。
一方、
オートファジーは運動や断食などで
活性化することができるので、
治療をする上で非常に役にたつ
生理的なシステムなのです。
アルツハイマー病やパーキンソン病
などの神経変性疾患を始め
うつ病や自律神経失調症など
神経に起こる病気では
オートファジーの
機能低下が見られます。
そこで
意識的に運動や食事などに
気をつけて
オートファジーを誘導すると
自律神経を介して
神経症状が改善する可能性が高いです。
私たちの研究室では
食事の中でも
特に天然糖質に着目しました。
「トレハロース」を使って
脳内オートファジーの誘導を確認しています。
3日から1週間程度の
トレハロース摂取で
脳内オートファジーの活性効果があるのですが
それ以上摂取しても
効果は逆に失われるので注意が必要です。
いちどトレハロースを取ったら、
その後中断し、
また3日から1週間程度
トレハロースを取るというのが
効果的だと思われます。
できれば
同時に運動を行うとより効果的に
脳内オートファジーを誘導し、
異常な分子やごみを
サッと溶かして片づけてくれます。
ネズミの実験系を元にした結果です。
同じ高等生物のヒトに応用はできますが、
条件や効果に違いがあると思います。
今日の記事はここまでです。
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