最終更新日: 2019.01.30

ガン縮小効果をもつオリゴ糖好き腸内細菌11種類が見つかる. [腫瘍の大きさを半分以下に]

11種類の腸内細菌が力をあわせて
抗がん効果を示すことがわかりました。

将来的に
腸内細菌を調節することにより
病気が治る可能性があります。

特に
炎症疾患、
自己免疫疾患や
アレルギーなど免疫系が関わる疾患は
確実に腸内細菌が関わっています。

まだまだ研究は進んでいませんが
神経難病やガンにも
腸内細菌は密接に関わっています。



11種類の腸内細菌はなに?

実際に
2019年1月に
ガンと腸内細菌との報告が出ました。

Nature. 2019 Jan 23.
doi: 10.1038/s41586-019-0878-z.

ガンを抑制する
11種類の腸内細菌が見つかったのです。

慶応大学からの研究です。

腸には
約1000種類の細菌
(腸内細菌)が住んでいます。

特に
健常者の腸に住んでいる
11種類の腸内細菌が
抗炎症、抗腫瘍タンパク質を
放出する手助け
をしてくれているようです。

11種類の腸内細菌の内訳として
7種類のバクテロイデス(Bacteroides)
そして
4種類の非バクテロイデスでした。

面白いことに
11種類が全員そろって初めて
効果を発揮するのです。



腸内細菌が力をあわせて抗細菌効果を発揮

7種類のバクテロイデスのみを
マウスに与え
サイトカイン(インターフェロンγ)の
放出を見たのですが
この7種類だけでは不十分でした。

また
4種類の非バクテロイデス菌では
若干のサイトカイン放出が認められましたが
やはり不十分でした。

このことから
この11種類の腸内細菌たちが
協力して
強力なサイトカイン放出

誘導していることがわかりました。

サイトカインとは
細胞が放出するある機能を持った
タンパク質の総称です。

数十の種類があり、
それぞれに
免疫系や神経系などで
大切な役割をしています。

今回、指標としたサイトカインは
インターフェロンγといいます。



このインターフェロンγという
サイトカインには
抗細菌効果があります。

そこで
リステリアを感染させたネズミに
この11種類の腸内細菌を投与して
どうなるかをみたところ
この11種類の腸内細菌がいるネズミでは
リステリアの感染が有意に抑えられていました。

腸内細菌がいるとガン縮小効果をもつ

このインターフェロンγは
前述したように抗腫瘍効果も持ちます。
特に
チェックポイント阻害剤が
効果を発揮する際に大切な役割を果たしています。

そこで
ネズミに上皮由来の悪性腫瘍を接種し
11種類の腸内細菌の有無によって
腫瘍の大きさがどうなるかを見ました。

すると
リステリアの場合と同じように
腫瘍においても
この11種類の腸内細菌がいるネズミでは
チェックポイント阻害剤による
抗腫瘍効果が劇的に改善していました。

実験のデザインです。

実際の結果です。

縦線は腫瘍の体積です。

黒い線が
コントロール(比較対象)のネズミです。

青い線が
ネズミにチェックポイント阻害剤を投与しています。

グレーは
11種類のうち10種類だけ腸内細菌を与えています。

茶色は
10種類の腸内細菌と
チェックポイント阻害剤を投与しています。

緑は
腸内細菌11種類を投与しています。

赤は11種類の腸内細菌と
チェックポイント阻害剤を投与しています。

グラフから
明らかに
11種類の腸内細菌と
チェックポイント阻害剤を投与した
赤い線では腫瘍の大きさを小さくしていることがわかります。
Nature 2019より引用。

下図の赤矢印が
実際の腫瘍の大きさです。
たしかに
他のグループよりも小さいです。



腸内細菌サプリの新時代

この11種類の腸内細菌は
日和見菌に属しており
健常者の腸にも住んでは
いるのですが非常に少数です。

今後は
この11種類を含んだ腸内細菌
タブレット(サプリ)が
感染症、ガンなどの治療の補助薬として
使われるかもしれません。

日本初の成果なので
日本の企業によって
臨床へとつなげて欲しかったのですが
アメリカのベンチャー企業が
すでにこの11種類の細菌を使って
治験を予定しているようです。
やはり
アメリカ企業は
驚くほど動きが素早いです。



天然の糖質で増えるバクテロイデス菌

今回の11種類のうちの7種類の
バクテロイデスは
フラクトオリゴ糖
および
単糖を餌として

増殖、代謝しています。

バクテロイデス属には
なんと
約92種類もいます。

中でも
バクテロイデス・プレビウス(Bacteroides plebeius)は、
海藻の食物繊維を分解する
ポルフィラナーゼを作ることができるため、
海苔を良く食べる日本人には
バクテロイデス・プレビウスが
腸内にいることが多いといわれています。

今回の11種類中
7種がバクテロイデス属でしたが
プレビウスは入っていませんでした。

フルクトオリゴ糖は天然糖です。
食品から多彩な天然の糖質をとることで
感染症やガンの予防になる可能性が
今回の研究から出てきました。

神経難病でも
きっと腸が関わっているはず。

いつも
目のつけどころは
いいやけど
行動が遅いねん!

(;一_一)



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