最終更新日: 2020.12.5

ALS に対して めまいの薬剤 ケタス は有効. 最新報告.

2018年4月14日に情報を追記しました。
2017年12月9日に情報を追記しました。

イブジラスト(MN-166、ケタス) の
筋萎縮性側索硬化症(ALS) に対する
臨床治験報告が出ました。

今回対象としたALS 51 名全員を対象に
データを解析した結果、
MN-166 の有効性および安全性が
確認されました。



MN-166の効果

簡潔にかくと
MN-166を服用すると
呼吸機能が改善もしくは安定する

以下
メディシノパより発表

ALS 患者の運動機能、
呼吸機能を包括的に評価する ALSFRS-R スコアは、
時間経過とともに、
病態進行、症状悪化に伴い減少していきます。
ALSFRS-R スコアが安定(スコア悪化―1 以内)、
または
改善した人を治療反応者と定義したところ、
二重盲検期間中に
MN-166を 6 ヶ月服用した群では、
治療反応者の比率が 29.4%、
一方、
プラセボ群では 17.6%でした。
さらに、
プラセボ群の患者が
6 ヶ月目から MN-166 を投与された場合、
6 ヶ月後に ALSFRS-Rスコアが安定
または、
改善された比率は 35.3%でした。



さらに
呼吸機能に加えて
患者自身が
体調や気分などを含めて
以前よりも良くなったのか?

という主観的に判断をしてもらったところ
MN-166を服用するとよくなった。
ということです。

具体的には
身体的可動性、
日常生活の自立的活動性、
食事・飲料などの経口摂取のレベル、
コミュニケーションや情緒反応などを指しています。

以下
メディシノパより発表

ALS 患者のクオリティ・オブ・ライフ(QoL)を
主観的に評価する ALSAQ-5 スコアは
患者自身が
身体的可動性、
日常生活の自立的活動性、食事・飲料などの
経口摂取のレベル、
コミュニケーションや情緒反応などを評価します。
この ALSAQ-5 スコアが
改善または悪化しなかった人を
治療反応者と定義しました。
二重盲検期間中に
MN-166(イブジラスト)を服用した群では、
治療反応者が 50%、
一方
プラセボ群では 23.5%でした。
さらに、
プラセボ群の患者が
6ヶ月目から
MN-166 を投与された場合、
6 ヶ月後の ALSA Q-5 スコアへの治療反応者の比率は
29.4.%でした。



総合すると、
本治験中に、MN-166 を
6 か月投与され ALSAQ-5 スコアにおいての治療反応者は
43.1%で、
プラセボ投与での治療反応の
23.5%に比較すると、
統計的に有意に治療へ反応していました。(p=0.046)



MN-166の副作用

副作用としては
吐き気や食欲不振など
でした。
薬剤との相関関係は
不明ですがいずれも
重篤な副作用ではありません。
今回の対象者は全員
100mg/日のリルゾールも服用しています。
そのため、
リルゾールによる副作用の可能性もあります。



MN-166と病態改善の関係

MN-166とは
どんな薬剤なのか?
どうやって効果を発揮しているのか?
(作用機序)

ケタス、MN-166は慢性炎症を抑えることで病態を改善する。で説明しました。

以下、簡単に。

イブジラスト(Ibudilast、MN166)は
経口投与で
脳内に到達できる薬剤です。

イブジラストの作用は
炎症部位において
「マクロファージ」の活性化を阻害することです。

マクロファージとは
異物を食べることができ
またその食べた分解産物を
細胞表面に提示することで
免疫細胞に異物の情報を渡すと
いう大事な役割をしています。

しかし
過剰に活性化し過ぎたマクロファージ
逆に病態を悪くしてしまうことがわかっています。

また
神経系には炎症で活性化する細胞が
もう一種類います。

「グリア細胞」と呼ばれる細胞もまた
炎症部位で活性化されています。

イブジラストは
その活性化も抑えることがわかっています。

これらの炎症を和らげることで
ALSの病態が改善していると考えられています。

補足として
炎症には2種類あります。
急性炎症と慢性炎症です。

通常の発熱や
切り傷が膿んで痛いという場合には
急性炎症です。

一方、
原因は不明ですが、
ALSでは慢性炎症が起こっています
さらに
認知症を引き起こす
アルツハイマー病
レビー小体型認知症
または
パーキンソン病でも慢性炎症が起こっています。

主に
脳内では
グリア細胞
(アストロサイトとミクログリア)
が炎症を担っています。

表紙の画像は
認知症モデルマウス脳です。

確かに
アストロサイトとミクログリアが
老人斑に反応して
老人斑を取り囲むところを
示しています。

これが何を意味しているかは
以前
火事場に集まる人たちで説明しました。



ALSに対する今後の治療予定

MN-166には
抗炎症作用があります

MN-166は
進行性の多発性硬化症(MS)に約50&病態を改善するとの効果が
2017年10月に発表されました。

今回はALSでも
リルゾールとMN-166との相乗効果が認められました。

次の段階は
1日あたり
より高用量(100mg)のMN-166を
使用しての治験が現在進んでいます。
(マサチューセッツ総合病院)
ちなみに
今回のMN-166の用量は60mgでした。



今、ALSの方が今できること

日本では
まだALSに対して
MN-166(ケタス、イブジラスト)は
適応となっていません。
治験の予定もありません。

まずは
今回のアメリカでの
MN-166の臨床試験結果を
主治医に伝えてください。

今回の治験から
MN-166の効果や安全性が
一部確認されました。

あとは
主治医の先生の判断によるでしょう。



MN-166は
通常、
脳梗塞後遺症に伴う
慢性脳循環障害による
「めまい」の薬として用いられます。

そこで
症状として
「少しめまい」がある方は
そのことを主治医に伝えましょう。

処方してもらうことが
できるかもしれません。
(確証はありません。)

2018年4月14日現在
実際に
処方してもらったとの報告を
いただいています。

すこしでも情報が
役立てば幸いです。



今日も最後まで読んで頂き
ありがとうございました。

2017年12月6日より
医療関連記事に関して
インターネット上から
大手の製薬会社や
大手のメディアが
優先的にヒットするようになりました。

理由として
質の低い医療関連記事を除くためです。

このブログも含めて個人でやっているサイトは
この影響をうけて
検索結果から
はじき出されています。

その結果
ここ数カ月、
ALSの最新情報を
待っていた方から
まだ結果が出ないのですかとの
連絡をいただきました。

是非、
一人でも多くの方に
情報が伝わるように
祈っています。



次世代には
認知症で苦労する人や
介護する人を少なくしたい。

「あなたから認知症予防を」をスローガンに
「研究」と同時に
このブログでコツコツと活動をしています。

仲間や同士が集まり、
未知のことが
いろいろ分かってくると思います。

そして
「将来、神経難病は治る病気」になると
感じました。

一歩ずつですが
みんなで進んでいきましょう。
ご応援のほどよろしくお願いします。

みそしる一押しお願いします。

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