最終更新日: 2018.05.31

脳腫瘍 にも光をつかった 免疫療法 が使える日が近い.

2018年5月10日に
グリオブラストーマに対してイブジラストとの
併用療法が臨床試験承認されました。
詳細は下記に追記しました。

身体のガンはあらゆる場所に転移します。

特に「脳腫瘍」は予後が悪く、
これまで限られた治療法しかありませんでした。

ところが
2017年10月18日
びっくりするような記事に出会いました。

光免疫療法です。



現在、
脳腫瘍の患者さんも対象に
光免疫療法の臨床試験がアメリカで開始されています。

以前からチェックポイント阻害剤による
免疫療法をお勧めしていましたが、
光免疫療法の治療効果もすさまじい。
将来本当にガンがなくなる日が
くるのではと感じました。

ポイントは3つです。
免疫療法

抗体
です。



脳の特徴からみた転移しやすい理由

脳は重さで見ると
約1,500グラム程度なので
60キログラムの人で2.5%程度、
100キログラムの人でも
脳の重さはあまり変わりません。

そのため、
体重における脳重の割合は
約1.5%となります。

一方、
脳には細胞がたくさんいます。
そのため血流量が多く、
全身の血流の内、
約15-20%が脳に流れています。

血流量がおおいため、
脳の中にガン細胞も行きやすいと思われます。



脳転移しやすいガンは?

脳に転移しやすい(転移性脳腫瘍)ガンとしては、
肺がん(60%)、
消化器系がん(16%)、
乳がん(11%)、
腎泌尿器系(7%)などです。

東京大学医学研究所附属病院腫瘍外科引用元

脳腫瘍の内、
転移性脳腫瘍は20%とされていますが、
実際にはもっとたくさん
脳に転移しているはずです。

画像診断の精度がどんどんと上がってきているので
今後は転移性脳腫瘍の割合がもっと上がるはずです。

一方、
脳から発生したガン
(原発性脳腫瘍)があります。
とくに予後が悪いのは
神経膠芽腫(グリオブラストーマ)で、
5年生存率が約6%しかありません。



脳腫瘍に対する治療法

脳腫瘍の治療法は
他のガンと同じく
これまでは3つしかありませんでした。
切る、飲む、浴びるです。

しかし
4つ目の選択肢として
免疫療法
ここ数年で
かなり治療効果が改善してきました。

というより
副作用の点からも
まずは
免疫療法を第一選択肢にした方がよいと思っています。

免疫療法にもいくつかあるので
特にここでいう
免疫療法とは
チェックポイント阻害剤によるものです。

さらに
驚いたことに
光免疫療法の治験結果が
報告されました。



光免疫療法とは

近赤外線免疫療法(NIR-PIT)と呼ばれ、
アメリカNIHで小林久隆医学博士の指揮のもとで
実施されています。

光免疫療法は
簡単にいうと
3つのステップです。

1 抗体を用いてガン細胞にくっつき
2 光を当て、
3 ガン細胞をたたくという方法です。

近赤外線を吸収する分子である光吸収体、IR700が
使われています。
抗体がガン細胞にくっつきます。
IR700が光により活性化され、
ガン細胞がボーンと破壊されるのです。

さらに
驚いたことに
免疫系が
このボーンと破壊された細胞の断片を
「異物」として感知します。

すると
免疫応答がさらに誘発され、
抗体とIR700の塊がくっついていないガン
破壊されるのです。

光免疫療法の効果は?

2017年6月
アメリカ頭頚部学会での報告です。

光免疫療法を
末期の頭頚部ガン患者7人に施行した結果、

7名中5名にガンの縮小もしくは
消失といった効果がありました。

7名中1名は
残念ながらなくなってしまいました。
実は
光免疫療法の効果がありすぎて
亡くなってしまったと考えられます。

脳の中の
血管は
グリア細胞という細胞によって
囲まれています。

下の画像では
茶色く輪っかになっている細胞が
グリア細胞です。
血管をかこんでいることがわかります。

これは
腫瘍や病気に関係なく
正常でも同じです。

このグリア細胞が
破壊されると
脳の血管がもろくなり
出血する可能性があります。

前述した
1名の方は
脳腫瘍がこのグリア細胞にまで
浸潤していました。

光免疫療法により
ガンのグリア細胞を破壊したのです。

結果として、
血管から出血して
血圧が下がり
亡くなってしまいました。

光免疫療法が
どれほど
効果があるかお判りでしょうか?



いつ頃日本では治験が開始される?

2-3年のうちに開始されると思います。

アメリカのNIHが
光免疫療法に関して
約1年半でネズミ段階の研究から
ヒトへの臨床試験までを行いました。

日本の厚生労働省も
最近は
患者さんに使えるまでの時間を
努力して
短くしています。

たとえば
チェックポイント阻害剤のスピード認可や
アデュカヌマブの
先駆け審査指定制度の指定などです。

2017年10月19日追記
光免疫療法の
日本での治験は早ければ
2018年にも始まるそうです。

三木谷浩史さん(楽天を立ち上げた人)が
「光免疫療法」の実用化を目指す
アメリカのベンチャー企業の取締役会長に就任し、
光免疫療法の臨床治験をサポートしています。
(2017年2月13日)

「アスピリアン・セラピュティクス、Aspyrian Therapeutics,Inc.」

2017年3月には日本支社が立ち上がり
三木谷さんがCEOとして就任しています。

三木谷さんは
お父さん(三木谷良一さん)をガン
(2013年11月9日、膵臓癌)
でなくされていること。
政界とも強いつながりをもつこと。
これまで楽天を通して
様々な効率化を進めてきたことなど
の経験を持っています。

三木谷さんがいれば
日本での
光免疫療法のスピード認可にも
かなり貢献されるはずです。



まとめ

個人的には
光を使った
免疫療法を知らなかったので
かなりびっくりしました。

神経難病も
身体の本来の力を利用して
きっと改善、
治療できるはずです。

天然糖質、オリゴ糖などを通して
脳オートファジーの活性化や
脳からの排出機能の活性化が
神経変性疾患に役立てるように
一歩一歩ですが進んでいきます。

みんなで
情報を共有しながら
進んでいきましょう。



更新履歴

2018年5月31日
メディシノバ株式会社は2018年5月10日、
MN-166において、グリオブラストーマ(神経膠芽腫)を適応として
申請していたIND(臨床試験実施申請)が承認され、
当該INDに基づき
N-166(イブジラスト)とTMZ(テモゾロミド)の
併用療法の臨床治験の開始が、
FDA(米国食品医薬品局)から承認されたと発表しました。

メディシノバ株式会社より引用

MN-166とは
現在もケタス(イブジラスト)として
喘息の患者さんや
脳梗塞後遺症に伴う
慢性脳循環障害によるめまいの改善に使われています。

作用は
慢性炎症を抑えることで
現在多発性硬化症や
筋萎縮性側索硬化症の方に対しての治験
進んでいます。

慢性炎症を抑えると神経難病は改善するか?

今日も最後まで読んで頂き
ありがとうございました。

次世代には
認知症で苦労する人や
介護する人を少なくしたい。

「あなたから認知症予防を」をスローガンに
「研究」と同時に
このブログでコツコツと活動をしています。

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