慢性炎症 が パーキンソン病 の病態を増悪させる.


パーキンソン病で
亡くなった方の脳を
見る機会が多いです。

脳を顕微鏡で見ると
細胞が活性化しています。

簡単にいうと
(グリア)細胞がナニかに反応して
必死に
ナニかをしていた形跡が見えます。

すでになくなった方の脳で
ナニが起こっていたのでしょうか?



ナニが起こっていたの?

炎症です。

画像は脳の中で
活性化したグリア細胞(茶色)です。






火事の現場を想像してみてください。

いろいろな人が大急ぎで
なにかをしています。

消火する消防士さん、
野次馬、燃えている家の住人。
ひょっとしたら
放火した「犯人」がいるかもしれません。


脳の中も同じです。

炎症は火事と似ています。

ナニをしていたの?

神経細胞やグリア細胞は
炎症をしずめる(消火)ために
働いていると推測できます。

ただ、

パーキンソン病の方の
グリア細胞が
正常に機能しているのか?
すでにおかしくなっているのか?
わからないのです。

ひょっとしたら
細胞が消火している風に見せかけて
油を注いでいる可能性もあるのです。



実際に
パーキンソン病患者さんの脳内では
炎症性のタンパク質(サイトカイン)が
増えています。

良く知られた
サイトカインは
インターロイキン1(IL1)、
インターロイキン6(IL6)、
腫瘍壊死因子
Tumor Necrosis Factor(TNFα)などです。

パーキンソン病患者さんの血清でも
これらの炎症性サイトカインが増えています。

まとめて
これらは炎症マーカーとも呼ばれます。



炎症マーカーは
神経細胞が死滅した結果
増えているのだろうと
これまでは考えられてきました。

しかし逆の可能性もあるのです。

炎症がパーキンソン病を引き起こす。

では

炎症を抑えると
パーキンソン病は
発症しないのでしょうか?

実際に
炎症を抑えると
パーキンソン病の病態が改善する
研究が報告されています。

ハーバード大学とエモリー大学の共同研究です。
合計146,948人
(男性65,657人、女性81,291人)
1992年から約10年間の調査期間です。

非ステロイド系抗炎症薬
(NSAIDs)である
イブプロフェンibuprofenを服用していた
パーキンソン病の方では
臨床症状が有意に緩和するのです。
Nonsteroidal antiinflammatory drug use and the risk for Parkinson’s disease
Ann Neurol (2005) 58 963-967.

ただ
アスピリンでは効果が
認められなかったため、
この効果は
イブプロフェンに関連した
作用機序だと思われます。



炎症を引き起こすLPSを
ラットに接種すると
神経細胞が死滅する
より先に
炎症マーカーが上昇します。

それと同時に
(グリア)細胞がナニかに反応する
病変が見えます。

ヒトの剖検脳と似た状態が
起きていると推測します。

つまり
これまで
炎症マーカーは
神経細胞が死滅した結果
増えるのだろうと
考えられてきたのですが、

炎症が先で
パーキンソン病の病態を
誘発しているのです。

この場合の炎症とは
慢性炎症です。



LPSは
神経細胞よりも
グリア細胞に対して
おもに働きます。

なぜなら
LPSの結合するタンパク質(受容体)
がグリア細胞に多いからです。

グリア細胞は
さらに3種類の細胞に分けられます。
なかでもミクログリアと呼ばれる
グリア細胞が
LPSにもっともよく反応します。

画像の中の茶色い細胞が
ミクログリアです。
活性化しています。

そして
この活性化したミクログリアが
パーキンソン病の病態に
大きな役割(悪い意味で)を果たすのです。


では
どうしたら慢性炎症を抑えることが
できるのでしょうか?
長くなったので続く。

みそしる一押しお願いします。

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