最終更新日: 2020.09.6

アルツハイマー病が 慢性炎症 を起こすのではなく 真実は逆だった. (パーキンソン病などにも応用可能.)

アルツハイマー病の患者さんの
血漿中には
健常人に比べて
約3倍も多くLPSが含まれていました。

これまで
なぜだか
抗炎症剤を定期的に
服用していた人たちは
認知症の発症率が
低いことがわかっています。

アルツハイマー病の結果
炎症が起こっていると思われていたのですが、
実は真実は逆で
慢性炎症を抑えると
アルツハイマー病の病態が改善するのです。





血漿中多く含まれていたLPSを
体内に接種するとどうなるのでしょう?

LPSを体内に
接種すると
急性の炎症がおこります。
さらに
老人斑や記憶障害が悪化します。

(画像中の茶色が老人斑です。
アルツハイマー病の患者さんの
脳内の染色像です。)

“Neuro-inflammation Induced by Lipopolysaccharide Causes C
ognitive Impairment through Enhancement of Beta-amyloid Generation,”
J Neuroinflammation 5 37.
doi: 10.1186/1742-2094-5-37.

つまり
LPSにより
アルツハイマー病の病態が
悪化するのです。






身体には炎症を抑える
機能が備わっています。
免疫系です。
このシステムを担っているのが
免疫細胞です。

この免疫細胞を
脳に多く送り込むと
炎症と老人斑が減り、
認知テストの成績も向上したとの報告が
2015年に発表されました。
Breaking immune tolerance by targeting Foxp3+ regulatory T cells mitigates Alzheimer’s disease pathology.
Nature Communications 6, 7967 (2015)
doi:10.1038/ncomms8967

慢性炎症をおさえることが
治療にもつながるのです。

アルツハイマー病だけでなく、
レビー小体型認知症も
多系統萎縮症にも
応用可能であると思われます。

もちろん、
これまで
「免疫」が深く関与していると
推測されていた
多発性硬化症や
筋萎縮性側索硬化症にも
効果を発揮するはずです。

ちなみに
脳の炎症性疾患の代表である多発性硬化症でも
あらゆる慢性炎症が起こっています。

特に
オステオポンチンは
強い炎症誘導能をもったサイトカインです。
多発性硬化症の患者の脳検体での上昇も確認されています。



わかんないんだけど、
なんでそんな身体によくない
ばい菌成分、LPSが血液中にあるの?

LPSは本来
消化管にある分子なので
血液中にはないはずです。

それが
なぜ
血管の中に存在するのか?

消化管(小腸)の粘膜から
血液中にはいる「透過性」が
高まっているのです。

つまり、
腸から血液中への
バリア機能が弱くなっているのです。



この研究は
アルツハイマー病ではなく
パーキンソン病での結果です。

C.B. Forsyth, et al.,
“Increased Intestinal Permeability Correlates with Sigmoi
8d Mucosa Alpha-synuclein Staining and
Endotoxin Exposure Markers in Early Parkinson’s Disease,”
PLoS One 6, no. 12 (2011): e28032.
doi: 10.1371/journal.pone.0028032.

おそらく
アルツハイマー病でも
同じ機序でばい菌成分が
血液中に入りこんでいると思われます。

ばい菌といってますが、
外から入ってくるもの
ばかりではありません。

腸内には
身体を構成する細胞の
約10倍の
細菌たちが住んでいます。

ばい菌というと
聞こえは悪いですが、
LPSは
腸内細菌の体を
作っている分子の一つです。



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